映画『ゲティ家の身代金』 | 5月25日(金)全国ロードショー

総資産1.4兆円の大富豪ジャン・ポール・ゲティ 誘拐された孫の身代金は50億円 しかし、支払いを拒否 息子を救いたい母はどうする−−

リドリー・スコット監督×ミシェル・ウィリアムズ×クリストファー・プラマー×マーク・ウォールバーグ 1973年にローマで発生した世界一有名な誘拐事件を映画化!!

    その誘拐事件のニュースは全世界を駆けめぐり、多くの人々を震撼させた

    週刊文春:1973年12月24・31日号/読売新聞:1973年11月12日付 12月14日付(共同通信配信)

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    INTRODUCTION

    非情な誘拐犯、そして冷酷な大富豪と戦う、一人の母―

    1973年、日本を始め世界中を震撼させた誘拐事件があった。人質は【世界一の大富豪】であるアメリカ人石油王ジャン・ポール・ゲティの孫、ジョン・ポール・ゲティ三世。1,700万ドル(約50億円)という破格の身代金もさることながら、50億ドル(1.4兆円)の資産を持つゲティが身代金の支払いを拒否したことでも有名で、日本の新聞、週刊誌でも大きく報道された。しかしこの事件の裏側で、誘拐犯と身代金を拒むゲティの間で戦い続けた人質の母親がいたことはあまり知られていない。離婚で一族を離れていた“一般家庭の母”は、いかに2つの強敵に立ち向かったのか―

    お蔵入りの危機から史上空前の大逆転劇!!

    2017年11月、ジャン・ポール・ゲティ役のケビン・スペイシーが突如降板。映画は既に完成、全米公開は1か月後だったが御年80歳の巨匠リドリー・スコットは即座に決断した。「再撮影だ。」 数日後にはアカデミー賞®俳優C・プラマーの出演が決まり、1週間後には撮影を開始、その2週間後には映画を完成させる。お蔵入りも危惧された状況をこの短期間で乗り越え、アカデミー賞®(助演男優賞)、ゴールデン・グローブ賞(監督賞、主演女優賞、助演男優賞)、英国アカデミー賞(助演男優賞)でノミネートされるという、史上空前の快挙を果たすこととなる。プラマーはアカデミー賞®演技部門ノミネートの歴代最高齢記録を更新した。

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    STORY

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    “世界中のすべての金を手にした”といわれる大富豪ゲティ。孫ポールが誘拐され1700万ドルという破格の身代金を要求されたゲティは、支払いを断固拒否。彼は大富豪であると同時に稀代の守銭奴だったのだ。離婚によりゲティ家を離れていたポールの母ゲイルに支払いは不可能。息子を救い出すため、ゲイルは事あるごとに脅迫してくる犯人だけでなく、断固として支払いを拒否する【世界一の大富豪】とも戦うことになる。警察に狂言誘拐を疑われ、マスコミに追い回され、疲弊していくゲイル。一方、一向に身代金が払われる様子がないことに犯人は痺れを切らし、ポールの身に危険が迫っていた・・・。

    CAST

    ミシェル・ウィリアムズ(人質ポールの母 アビゲイル・ハリス)

    1980年9月9日生まれ。9歳から演技を学び、”Lassie”(1994)で映画デビュー。その後TVドラマで人気を博し、『ブルーバレンタイン』(2010)、『マリリン 7日間の恋』(2011)でアカデミー賞®主演女優賞に、『ブロークバック・マウンテン』(2005)、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016)でアカデミー賞®で助演女優賞、ノミネートされる。本作ではゴールデン・グローブ賞助演女優賞にノミネートされ、名実ともにハリウッドを代表する女優となる。『ブロークバック・マウンテン』で共演した故ヒース・レジャーとの間に娘が一人いる。『ワンダーストラック』(2017)、『グレイテスト・ショーマン』(2017)と新作が立て続けに公開する他、『スパイダーマン』のスピンオフ映画である『ヴェノム』(12月公開)が控えている。

    クリストファー・プラマー(石油王 ジャン・ポール・ゲティ)

    1929年12月13日生まれ。1953年にブロードウェイの舞台に立ち、その後ロンドンで活躍。再びブロードウェイに戻った後「シラノ」(1973)でトニー賞ミュージカル主演男優賞を受賞。映画には1958年から出演を始め、『サウンド・オブ・ミュージック(1965)』のゲオルク・トラップ大佐、『空軍大戦略』(1969)のコリン・ハーベイ少佐などで当たり役を得る。『終着駅 トルストイ最後の旅』(2009)でアカデミー賞®助演男優賞ノミネート、『人生はビギナーズ』(2011)でアカデミー賞®助演男優賞を受賞。本作ではアカデミー賞®の他、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞でも助演男優賞にノミネートされる。その他の出演作に『カールじいさんの空飛ぶ家』、『Dr.パルナサスの鏡』(いずれも2009)などがある。

    マーク・ウォールバーグ(元CIAの人質交渉人 フレッチャー・チェイス)

    1971年6月5日生まれ。ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックのメンバーである兄ドニーのプロデュースで、ラップバンドのマーキー・マーク&ザ・ファンキー・バンチの一員としてデビューし2枚のアルバムをヒットさせる。1994年に映画デビュー後、『ディパーテッド』(2006)では、アカデミー賞®とゴールデン・グローブ賞の助演男優賞にノミネートされた。2017年には「最も稼いだ俳優」1位を獲得するなど、ブロックバスターの出演も多数あり、『トランスフォーマー』シリーズ(2014、2017)や『テッド』シリーズ(2012、2015)などが有名。

    ロマン・デュリス(犯人グループのリーダー チンクアンタ)

    1974年5月28日生まれのフランス人俳優。街中でスカウトされ、セドウィック・クラピッシュ監督の『青春シンドローム』(1994)でデビュー。その後、同監督作品の常連となる。その他、日本でもヒットを記録した『猫が行方不明』(1996)、ヴァンサン・カッセル、モニカ・ベルッチ共演の『ドーベルマン』(1997)、『スパニッシュ・アパートメント』(2002)、アルセーヌ・ルパンを演じた『ルパン』(2004)、『タイピスト!』(2012)などがある。

    チャーリー・プラマー(人質ジョン・ポール・ゲティ三世)

    1999年5月24日生まれ。プロデューサーの父と女優の母の間に生まれる。2011年、HBOのTVシリーズ「ボードウォーク・エンパイア」でデビューし、シーズン2~4に出演した。その後、”King Jack”(2015)で映画デビューし、2017年にはリチャード・ギア、ローラー・リニーらと共演した”The Dinner”、そして本作とメジャー作品への出演を果たす。次回作はマリサ・トメイ共演の”Behold My Heart”。

    ティモシー・ハットン(ゲティの秘書 オズワルド・ヒンジ)

    1960年8月16日生まれ。10代で俳優業を始め、映画デビュー作の『普通の人々』(1980)でスターとなる。同作でアカデミー賞®、ゴールデン・グローブ賞の助演男優賞を受賞。その他、『タップス』(1981)、『フレンチ・キス』(1995)、『将軍の娘/エリザベス・キャンベル』(1999)、『シークレット・ウィンドウ』(2004)、『イレイザー』(2006)、『ゴーストライター』(2010)などがある。

    ミシェル・ウィリアムズ

    • ミシェル・ウィリアムズ
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    • ロマン・デュリス
    • チャーリー・プラマー
    • ティモシー・ハットン

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    リドリー・スコット

    STAFF

    リドリー・スコット(監督/プロデュース)

    1937年11月30日生まれ。イギリスBBC入社後、ドキュメンタリーやTVドラマの演出しキャリアを積む。その後制作会社を立ち上げ、数多くのCMを手掛ける。1977年、『デュエリスト/決闘者』で映画監督デビュー、同作でカンヌ国際映画祭にて新人監督賞を受賞する。SFホラー『エイリアン』(1979)が全世界で大ヒットし、活動拠点をハリウッドに移す。1982年にはSF映画の金字塔『ブレードランナー』を監督する。また、日本を舞台にマイケル・ダグラス、高倉健、松田優作らを起用した『ブラックレイン』(1989)、アカデミー賞®作品賞を受賞した『グラディエーター』(2000)などがある。その他、『グラディエーター』と『テルマ&ルイーズ』(1991)、『ブラックホーク・ダウン』(2001)ではアカデミー賞®監督賞にノミネートされた。その他、『ハンニバル』(2001)、『アメリカン・ギャングスター』(2007)、『ワールド・オブ・ライズ』(2008)、『オデッセイ』(2015)、『エイリアン:コヴェナント』(2017)など、80歳を超えた現在も精力的に活動している。本作ではゴールデン・グローブ賞監督賞にノミネートされた。弟の故トニー・スコットも映画監督。

    デヴィッド・スカルパ(脚本)

    『ラスト・キャッスル』(2002)、『地球が静止する日』(2008)で知られる。本作を含むスカルパによる3本の脚本が、ハリウッドの“ブラックリスト”(映画化前の優れた脚本リスト)入りを果たしている。

    ダリウス・ウォルスキー(撮影監督)

    ポーランド出身。大作を数多く手がける。リドリー・スコットとは『プロメテウス』(2012)、『悪の法則』(2013)、『エクソダス:神と王』(2014)、『オデッセイ』(2015)、『エイリアン:コヴェナント』(2017)、そして本作と立て続けに仕事をしている。リドリーの弟トニー・スコット監督『クリムゾン・タイド』(1995)の他、『ザ・メキシカン』(2001)、『パイレーツ・オブ・カリビアン』全シリーズ(2003、2006、2007、2011)、『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007)、『イーグル・アイ』(2008)、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)などがある。

    ダニエル・ペンバートン(音楽)

    アイヴァー・ノヴェロ賞、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞のノミネート歴がある、現代劇を得意とする作曲家。代表作に『悪の法則』(2013)、『コードネームU.N.C.L.E.』(2015)、『スティーブ・ジョブズ』(2016)、『モリーズ・ゲーム』(2017)、次回作は『オーシャンズ8』(2018)。

     

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    PRODUCTION NOTE

    • 巨匠の心を動かした、秀逸な脚本
    • 公開直前、前代未聞の再撮影
    • 独自のアプローチでモデルに近づいたキャスト
    • 複数のテーマが交錯する面白さ

    ABOUT THE GETTY FAMILY

    ゲティ

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    場面写真

    先祖はスコットランド系の移民。弁護士ジョージ・ゲティとセアラの間に生まれたジャン・ポール・ゲティは裕福な幼少期を過ごす。父ジョージとともにゲティはオクラホマで石油会社を設立して大成功を収める。その後、一家はロサンゼルスへ移住。大恐慌で石油メジャーが安全策を取る最中、ゲティは逆に勝負を仕掛け大手の吸収により事業を拡大、中東への進出を図る。同じ頃、ナチに石油を売り込むためその高官と関係を築いたことでFBIにマークされることになる。第二次大戦後はゲティオイル社を設立、本格的に中東に手を広げる。1957年、フォーチュン誌が初めて発表したアメリカ人長者番付で1位を獲得、その後「世界一裕福な個人」として、ギネス認定もされた。有名なサザーランド公爵屋敷サットン・プレイスを買い、イギリスに生活拠点を移す。美術品の収集にも熱を入れた。

    ゲティは生涯で5度結婚し、5人の息子(ジョージ、ジャン・ロナルド、ユージン、ゴードン、ティモシー)に恵まれるもそれぞれの妻との離婚調停で多額の慰謝料を要求された。ジョージは会社の経営権を引き継ぐも、ストレスにより自殺。ユージンは本作にも登場するジョン・ポール・ゲティ二世で、ゲティオイル社役員となるも赴任先の中東でドラッグ中毒となり、二世の2番目の妻で女優のタリサ・ポールは同じくドラッグ過剰摂取により死亡。ユージンの息子ジョン・ポール・ゲティ三世は1973年に誘拐される。その弟マークは、写真配信大手ゲッティイメージズの共同創業者。ゴードンの次男は2015年にハリウッドの自宅で原因不明の死を遂げる。ティモシーは脳腫瘍を患いわずか12歳で生涯を終えるが、ゲティはその葬儀にすら出なかった。三世の息子バルサザール・ゲティはハリウッドの俳優。

    ゲティは1953年に財団を設立。ゲティの死後、財団は全ての遺産を相続し彼が生前に集めた世界各国の美術品を展示するJ・ポール・ゲティ美術館を運営している。ロサンゼルスにある美術館はゲティ・センターとゲティ・ヴィラの2か所からなり、ロサンゼルスの観光名所となっている。

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    巨匠の心を動かした、秀逸な脚本

    『ゲティ家の身代金』のプロデューサー、クエンティン・カーティスは、ジョン・ピアースンの原作「ゲティ家の身代金」の映画化権を取得。デヴィッド・スカルパに脚本執筆を依頼した。

    スカルバは脚本へのアプローチを次のように語る。「ジャン・ポール・ゲティは、身代金を払って孫を助け出すことに躊躇したのではなく、お金を手放すことが我慢ならなかった。よくあるスリラーとは一線を画し、金がこの男を呪縛し、それが家族や誘拐犯に与える影響を検証するストーリーだ。子供の命が何よりも大切なはずなのに、さまざまな理由があってどうしても払うことに承諾できない。世界一裕福な男が、自分の財産の“人質”となっているわけだ。最も難しかったのは全体のバランスで、スリラーとシェイクスピア的な家族ドラマの間を行ったり来たりする構造をめざした」。

    2015年のブラックリスト(*1)にリストアップされたスカルバの脚本に対し、監督として最適と考えられたのが、リドリー・スコットだった。当初、「ゲティのことも誘拐事件も知っていたが、とくに興味をそそられなかった」と語るスコットだが、「脚本が傑出していた。題材も脚本もすばらしく、何としてでも映画にしたいと思った」と監督を快諾。「ゲティには度胸と才気があった。誘拐犯はテロリストであり、今日の政府なら身代金の交渉には応じない。ゲティは先進的なアプローチをとったと言える。しかし、それも本心からの決断ではなかったようだ」とスコットは、ゲティが抱えた矛盾に惹かれたと告白する。

    (*1)ブラックリスト:映画化されていない脚本を対象とした評価および映画製作マッチングのプロジェクト。しばしば投票ランキング上位リストを指すこともある。

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    公開直前、前代未聞の再撮影

    当初、特殊メイクでゲティに扮したのはケヴィン・スペイシーだったが、全米公開を翌月に控えた2017年11月に急きょ降板。この時映画はすでに完成していた。リドリー・スコットとプロデューサーたちは迅速な判断で、代役としてクリストファー・プラマーを起用した。製作会社のインペラティブ・エンターテインメントは追加撮影費も全額負担した。

    「疑惑を聞かされたのは公開直前だったが、道義上、撮った映像をそのまま使用する選択肢はなかった」と、インペラティブのダン・フリードキンは語る。

    「リドリーとは前から仕事がしたいと思っていたし、興味をそそる題材だ。実在の人物は下調べが面白いし、この人物は類い稀なるキャラクターだから、すぐに飛びついたよ」とクリストファー・プラマーも急なオファーを受け入れた。

    このようなキャスト交代は前例がなく、追加撮影の日数も限られていたのでひじょうにリスキーな試みだった。しかしスコットはプラマーの技量を信頼。「ロケ地の確保、俳優たちのスケジュールなど、物理的に可能かどうか確信がもてなかった。しかしクリストファーの技量なら、この役をこなせるという絶対的な自信はあった」と振り返るスコットを、プラマーも次のように称賛する。「リドリーはビジョンがはっきりしており、頭の中ですでに編集しているので何度もテイクを重ねる必要がなかった。ヒッチコックのような古典的な監督だ。作品の幅も広く、多種多様なテーマを選びつつ、新しいことに挑戦してもビジョンが揺らぐことはない」。

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    独自のアプローチでモデルに近づいたキャスト

    誘拐されるジョン・ポール・ゲティ三世の母ゲイルを演じたミシェル・ウィリアムズも、出演を即決した一人だ。「リドリー・スコットが監督をするということで、あとは何も聞く必要がなかった」とウィリアムズ。「リドリーは演出の意図を無駄なく、端的に伝えることのできる監督。撮影もだらだらと続かない。テイクがマンネリ化すると、意外なアプローチを試みるので、演じる側も面白くなって意識がその瞬間に集中するのよ」と、ウィリアムズはスコットの演出を絶賛する。

    リドリー・スコットも「ゲイルについての資料は限られていたが、マスコミが撮った数枚の彼女の写真から、ミシェルは外見的特徴を自らの中に取り込んでくれた」と、ウィリアムズの役作りに満足したという。

    ゲティのコンサルタント兼フィクサーのフレッチャー・チェイスを演じるのはマーク・ウォールバーグ。彼の出演の動機も、ウィリアムズと同じだ。「物語にも興味があったが、最大の決め手は、ここ20年の間、付き合いのあるリドリー・スコットだ。よい付き合いをさせてもらっていた。昔から大ファンなんだ。ちょうど別の映画の撮影中で、次の映画の撮影まで5日しか空いていない時期にオファーを受け、一度は断ろうとも思ったが、これほど尊敬する人と仕事をするチャンスは逃せないと決意した。いつも自分が演じる役とは違うタイプだったことで、ますますやる気が湧いた」とウォールバーグ。

    「『テッド』や『ブギーナイツ』でマークのセンスの良さは認識していた。役者然としておらず、とんでもない状況に置かれても親近感をもたせる才能がある」とリドリー・スコットは言う。

    「サスペンダーとベストを着て現場に入ればよかった」と語るウォールバーグだが、「脚本を1日4回朗読し、最初から最後まで徹底的に覚え込み、撮影中は余計なことを考えずにすむようにした。とりわけチェイスが心変わりするシーンが大事で、そこをしっかり把握していれば撮影の順序が変わっても対処できる」と、彼は念入りな準備を積んだことも明かす。

    ゲティの孫、ジョン・ポール・ゲティ三世を演じるのは、チャーリー・プラマー(クリストファー・プラマーとの血縁関係はない)。「できるだけ多くのものを手に入れたい人もいるが、この映画が描くのは、悲しい人間は富を手に入れても悲しいということ。幸せは外から来るものではないからだ」と、本作のテーマが若い世代にもアピールすると彼は分析する。

    チャーリー・プラマーの「世界を見てきた大人の雰囲気と、少年のカリスマ性に惹かれた」というリドリー・スコットは、彼が中心となるオープニングシーンを「私の大好きな映画『甘い生活』と同じ、ヴィットリオ・ヴェネト通りで撮りたいと思った」と明かす。「17歳の孫が、年上のイタリアの娼婦たちにもドギマギせず、自信があることが伺える。そんな少年が、誘拐犯たちによって違う世界へ連れられ、急に子供のようになる。チャーリーはそれらを見事に演じることができた」と、スコットは若き俳優に満足したようだ。

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    複数のテーマが交錯する面白さ

    リドリー・スコットは、ゲティと周りの家族とのサーガに魅了された理由を次のようにまとめる。
    「この作品は冷酷な金持ちを描くだけにとどまらない。大部分においてゲティの判断は間違っていなかった。皆より一つも二つも上手だからこそあれだけの財を築いた。石油開発のため中東で広大な土地を買い占めた初めての男であり、孫の誘拐事件での要求に対し、先進的な回答を示した。その勇気を私は必ずしも尊敬しているわけではないが、身勝手とも言いがたい。ゲティは富の虚しさ、それに付随しうるダメージを理解し、明確に自覚していたんだ。このテーマを掘り下げつつ、お金でなく息子に対する純粋な愛情に突き動かされるゲイルの鋼鉄の意志と交錯させるのが面白かった」。

    そしてこの映画の隠れたテーマを指摘するのは、ミシェル・ウィリアムズだ。「これはサスペンスに満ちたドラマではあるが、同時にフェミニズム映画でもあると思う。男の世界の中で、ゲイルの言動がまともに受け止めてもらえず、彼女はあらゆる能力を使って、周囲と対等になろうとする。女性であるがために軽んじられ、過小評価され、除外されるシーンがこの作品には数多く散りばめられているの」。

     

    ゲティ家の身代金

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